英二はアッシュがなぜ謝るのかが不思議だった。
(アッシュってすごく心配性だよなぁ。。。時々僕よりもかなり過保護に感じる時があるよ。まぁ、それも彼の良いところなんだけどね)
「心配するなって、ほら、僕は元気だよ」
英二はそう言って笑うが、アッシュは何も答えない。
「。。。。」
「どうしたの?何かあったのかい? 気になる事があるのなら言ってくれよ」
「さっきから言ってる。。。。」
「?? ごめん、よく分からなかった。もう一度言ってくれる?君の事をもっと理解したいからさ」
そう言って大きな瞳で見てくる彼を見て、アッシュはある決意をした。
英二の両肩に手を添えて、力強くアッシュはつぶやいた。
「俺に責任をとらせてくれ。。。。俺はお前を一生守っていく!」
「責任って。。。? おかしな事をいうなぁ、アッシュ。何度も言っているだろ? 君はいつも守ってくれているじゃないか。僕は何も君に求めていないよ。そばに居られればそれで構わないのだから」
そう言って英二は穏やかに笑った。
「、、、、、」
どこまでも温かい言葉をかけてくれる英二を見て、罪悪感で心がチクリと痛んだ。
(むしろその笑顔が痛い。。。)
非常に言いづらいが、はっきりさせないといけないとアッシュは覚悟を決めた。
「とにかく、、、俺は、、、その、、、お前に酷い事をしてしまったかもしれない。そう思うと俺は苦しい。。。たとえ覚えていなかったとしても、、、俺はお前との今後を真剣に考えている!」
「???」
(ますます意味が分からないよ。。。これはジョークなのか?さっきからアッシュは何を謝っているんだ?)
「アッシュ。。。もし君が、僕に不自由な生活をさせていると思っているのなら、それは違。。。」
言いかけた英二の言葉を遮るようにアッシュはもう一度英二を強く抱きしめた。
「もう何も言うな!おまえは心配するな!!」
「く、くるしいっ。。。。って!」
さっきからアッシュが訳の分からない事を言っていると英二は感じていた。
「。。。。。アーッシュ! 君は、、、まったく! まだ酒が残っているね?」
アハハハと笑う英二をなだめるようにアッシュは落ち着いた声でもう一度言う。
「英二。。。。お前が混乱しているのは分かる。あんなことがあったもんな。。。。誰だって動揺するさ。だけど何も心配するな、いいか? 」
英二は何と答えてよいか分からず黙っていた。
「。。。。。」
(まだ酔ってるよ、、、正直言って面倒くさいな、、、、ま、適当にあわせておこう)
「聞いてくれ。。。俺はお前を一生守る!何があってもお前だけは俺が全力で守るから。。。だからそばにいてくれ」
真剣にアッシュが告白しているのに、英二は彼が自分をからかっているのだと思っていた。
「はいはい、、、そうだね、、、ありがとう、、、」
英二はさらっと答えたが、穏やかに笑った。
「英二、本当に分かっているのか?俺はお前を一生。。。」
「ハイハイ、、、君の気持ちは分かっているって。。。。僕だって同じ気持ちなんだから」
(酔っぱらいって同じ話を何度もするからなぁ。。。アッシュって酔うとこんな風になるんだ。。。)
長いつきあいだが、アッシュの新たな一面を見たような気がしていた。
先ほどから眠気を感じていた英二はあくびをした。
「ふぁぁぁ。。。ところでさ、まだ眠いからもう少し寝ていいかい?」
「かまわないけど。。。何なら腕枕してやろうか?」
アッシュはそう言って腕を伸ばして英二に見せた。いたずらっぽく笑う彼をみて、英二もクスクス笑う。
「ははは。。。気が効くじゃないか。でも、どうして??」
大きな瞳で真っすぐ見てくる英二を見て、アッシュは余計な事をしてしまったと思った。
「別に。。。」
それだけしか言えなかったが、そう言うアッシュの頬は若干赤かった。
「ふーん?(年寄り扱いしているな?)ありがとう。じゃ、遠慮なく!」
からかわれていると思った英二は、アッシュに腕枕をしてもらった。
(アッシュめ、まさか僕が本気で腕枕をしてもらおうと言うと思わなかっただろうな。後で腕がしびれたというだろう、、、、しめしめ。年寄り扱いするからそのお仕置きさ!)
「おやすみ、、、、アッシュ、、、」
「あぁ、、、」
(何か気疲れしたな。。。。)
アッシュは今後二人の関係はどうなるのだろうと不安だった。今まで通り友達でいられるのだろうか?それとも違う形になるのだろうか?考えても答えはでるはずもなく、英二の寝息を聞いているうちに自分もつられて眠ってしまった。
(続)